人間の価値はどこで決まるのか?
著者はそれを「箸の持ち方」で決まると主張します。
つまり、まともに箸が持てない人は人間として信用できないということ。
本書で著者が伝えたいことは、具体的な箸使いのテクニックもそうですが、
「なぜ箸をきちんと持たなければならないのか」
「箸をきちんと持つというのはどういうことなのか」
といった精神に関わる問題です。
「箸の使い方なんてどうでもいい」という人もいるでしょうが、
そういう人は犬や猫と同じです。
しかし、人間は文明とかかわって生きている。
つまり箸をきちんと持つことの背後には、文明があり思想があるのです。
・箸の持ち方には何が象徴されているのか?
・なぜまず型から入るべきなのか?
・なぜ身体で覚えることが大切なのか?
・そもそも文明、文化とはなんなのか?
本書では「箸の持ち方」を通じて日本人の精神と文化を、
先人の知恵に学びながら説いていきます。
ある大学の調査によると、
40代、50代でも箸を正しく持てる人は3割程度しかいないとのこと。
しかも、年々正しく使える人が減っているうえに、
自分では正しく持っているつもりの人でも、
その半分近くが間違った使い方をしていたというのです。
本書では上記のようなさまざまなデータのほか、
実際に箸を正しく持てる人・持てない人のたちの
興味深いコメントも多数掲載。
おそらく、どんなに優れた実用書よりも即効性抜群の、
「箸の持ち方」をすぐにでも正したいと思わせる一冊です。
はじめに──箸とゲーテ
第一章 バカは箸の持ち方が変
第二章 マナー違反は人間失格
第三章 型を破るな、型にはまれ
第四章 食文化の破壊者たち
第五章 お客様は神様なのか?
おわりに──箸の持ち方を忘れた民族に未来はない
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適菜収(てきな・おさむ)
作家。哲学者。1975 年、山梨県生まれ。
著書に『日本をダメにしたB 層の研究』『日本を救うC 層の研究』(講談社)、ニーチェの代表作『アンチクリスト』の現代語訳『キリスト教は邪教です!』『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』(講談社+α新書)、『バカを治す』(フォレスト出版)、哲学小説『いたこニーチェ』(朝日文庫)など多数。