ロボティクスの第一人者が、
工学という立場から、記憶のメカニズムを解明していく。
ロボティクスとは、ロボットをどう作るかという学問。
これは見方を変えると、
人間を単純化したモデルであるロボットを介して、
システムとしての人間を理解すること。
言い換えれば、ロボット制御のための言葉を人間に当てはめて、
一見、複雑に見える「人間の記憶」というものを、
機械の動作メカニズムのように
解き明かしていこうという試みである。
では、その結論は何かというと、
人間の記憶は、人生において重要ではない、
実は、脳は記憶を忘れるようにできている、
つまり、忘れるというメカニズムは、
人間を成長させている過程にすぎないということである。
だから、「記憶力」というものは必要ないという
大胆な仮説が打ち立てられる。
果たして、記憶力は本当に必要ないのか?
この命題を証明していく。
記憶には、
という、3つが存在する。
本書では特に、歳を取るたびに、過去の記憶である
エピソード記憶を忘れていくメカニズムや
脳が覚えてしまった記憶が無意識化してしまう
非宣言的記憶の正体を中心に解明していく。
そして、忘れてしまったり無意識化してしまったりすることは、
最終的には、人間の脳が成熟した証拠であり、
忘れていくことが、人生の幸せにつながっていくという、
これまでの脳科学の考え方から逆説的な視点で答えを導いていく。
「人は学習を繰り返しながら成長する。
その過程において、記憶が必要となるが、
いつまでも記憶しようとする脳は、成熟した脳ではない」
この言葉にドキッとした方は、
本当の記憶のメカニズムを探る旅におつき合いいただきたい。
プロローグ
第1章 記憶とは何か?
第2章 記憶と学習のメカニズム
第3章 脳は記憶を消したがる
第4章 人は忘れるために生きている
エピローグ
※この本は2009年3月にビジネス社から刊行された『記憶』を大幅に再編集したものです。
無料立読み版PDFをダウンロードされる場合は、下記ダウンロードボタンの上でマウスを右クリックし、 「対象をファイルに保存」をお選びください (Mac で1ボタンマウスの場合、Control キーを押しながらクリックし、ファイルを保存する項目を選択して保存してください)。
立読み版ファイルは、PDF形式です。推奨ソフト:Adobe Reader Adobe社サイトより入手
※大変申し訳ありませんが、パソコン操作等に関する質問にはお答えできかねます。予めご了承くださいませ。
※立読み版ファイルはサイト上で公開するものであり、冊子などをお送りするものではございません。
前野隆司(まえの・たかし)
1962年、山口生まれ。
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授。博士(工学)。1984年、東京工業大学卒業、1986年、同大学大学院修士課程修了後、キヤノン株式会社入社。超音波モーターや精密機械の研究開発に従事。1995年、慶應義塾大学専任講師、同大学助教授を経て、2006年より同大学教授。1990~1992年カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員、2001年、ハーバード大学訪問教員。
現在、ヒューマンシステムデザイン研究室において、システムデザイン方法論(システムアーキテクティング方法論、教育方法論、科学技術倫理)、科学技術システムデザイン(触覚システム、ヒューマンマシンシステムデザイン)、人間社会システムデザイン(幸福学、イノベーション教育、社会システムデザイン)などの研究に従事。日本機械学会賞(論文)、日本ロボット学会論文賞、日本バーチャルリアリティー学会論文賞などを受賞。
著書に『脳はなぜ「心」を作ったのか』(筑摩書房)、『脳の中の「私」はなぜ見つからないのか?』(技術評論社)、『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』(講談社)などがある。
著者ホームページ http://takashimaeno.com/
著者フェイスブックページ https://www.facebook.com/takashi.maeno